犬の恐怖 |
フィレス城は今日も平和である。が、それはとある一角を除いてのことだった。 「‥‥クゥゥゥ‥」 「‥‥ハゥゥゥ‥」 ゲドは少しまいっていた。自分は確かネコ好きだったはず、犬よりネコの方が好きだ。そう思いながら足下を見下ろす。 「‥‥アイエオ〜」 「‥‥ホゥゥゥ‥」 「アゥ。」 犬である。以前、山や洞くつ、遺跡に崖で見つけ何となくつれてきてしまった犬達である。しかし、自分はネコの方が好きなのだ。だからネコならいざ知らず犬をつれてきてしまったというのは、多分そのときの気の迷いなのだ。ゲドは自分を納得させ再び足下を見下ろす。 「‥‥クゥゥゥ‥」 「‥‥ハゥゥゥ‥」 「‥‥アイエオ〜」 「‥‥ホゥゥゥ‥」 「アゥ?」 先程とまったく変わらない光景が目にはいってくる。足下でおかしな鳴き声を発しながら自分を中心に円をつくりぐるぐる回る犬達の姿。 「……お前達…いったい、何がしたいんだ…?」 問いかけてみたところで答えが返ってくるわけでもなく、いや犬達はいってることを理解しているかも知れなかったが、如何せんゲドに犬の言葉が理解出来る訳もなく、 「何を、言って……」 「アゥッ?」 ゲドが発した疑問の言葉はさらに疑問を表した(そう思う…)コニーの鳴き声によって中断される。 しばし音のない無言の世界が広がる。それでもゲドが休まることはなかった。見上げるコニー見下ろすゲド、彼等の視線はばっちり空中で出会い、その視線に絡まるようにコロク、コーイチ、コサンジ、コゴロウ、全ての犬の視線が合わさる。 円だった犬達は何時の間にかゲドの正面で真横に整列しており、なおかつ頭をあげ何とも言えない視線をよこす。その視線に耐えられなくなったゲドは無言の世界を中断させる一言をはなつ。 「出て行け……」 声に凄みをきかせ、扉を勢い良くあげた手で指差し言ってのけたゲドだったが、 「‥‥クゥゥゥ‥」 「‥‥ハゥゥゥ‥」 「‥‥アイエオ〜」 「‥‥ホゥゥゥ‥」 「アゥ。」 端から順に頭を横に傾げながら独自の鳴き声を出す犬達に通用する訳がなかった。 それならば と、正面で鎮座する犬達をさけるように扉の前までいき開け放ち再度言葉を放つ。 「頼むから、出て行ってくれっ……!」 その言葉に動きを見せた犬達に安心したゲドだったが、すぐに間違いだったことに気付くことになる。動き出した犬達が向かったのは扉の外ではなく、またしてもゲドから見ての正面しかも先程と同じく真横に整列している。ゲドはこの自分の姿を誰にも見られたくないと思っているだけに、真横で一列に並んでいる犬達に言い知れぬはがゆさを感じていた。だからこそ犬を追い払うのにも自然、熱が入る。今度は自ら部屋の外に出、手招きしながら誘導する。 「ほらっ…こっちにくるんだっ」 普段なら絶対しないだろう、似合わないだろうと自ら規制をかけるところだが、かなり必死になっているためにそんなこと忘れているゲドである。 犬はついてきた。面白いくらいに先程と同じ状況になっている。と、ここでゲドはいつもからは考えられない素早い動きをした。犬を部屋の外へ残しておく為である。一瞬足下に視線を落としくるりと踵を返すと自室のドアへ向かい物凄い勢いで走り出し、勢いをころさず一連の動作で部屋の中へ入る。 「ふぅ……」 ドアに凭れ掛かりため息をついたゲドだったが自分の足下をみて愕然とした。恐怖におびえたといっても良いかも知れない。なぜなら後ろに振り切ってきたはずの犬達が変わらぬ姿にくわえ尻尾をふり部屋の内側に存在していたからだ。 「………ッ!!!」 ゲドは声にならない叫び声をあげ、凭れ掛かっていたドアに限界まで身をよせた。そして今自分が経験していることはまぎれもない事実なのか、それとも日頃の疲れが見せた幻影なのか混乱する頭で考える。できれば後者であって欲しいと、夢であれば早く覚めてくれと切実に願うのであった。 唐突に張り付いていたドアが外から内側に向けて開かれる。勢い良くあいたドアに押され前に自然、2、3歩足をすすめる事となったのだがゲドのすぐ足下には恐怖の犬共が尻尾をふり存在している。さすがに犬を踏む訳にもいかず無理な体勢で避けた結果……失敗し、前のめりに倒れることになった。その間ゲドの目には周りの景色がスローモーションに見えていた。 薄れゆく意識の中、視界の端に薄らと捕らえた犬共の姿は何か自分をあざ笑っているかのようにも見え、"一体、俺が何をしたと言うんだッ!!!"と自問自答をしながら暗闇の世界へと旅立つのであった。 「……来るなと言ってるんだッ!!!!!」 ゲドは自らが発した言葉によって目を覚ますこととなった。そして先程起きたと思っていたことは夢だったのだと安堵のため息をもらした。 「ふぅ……恐ろしい夢だった………」 「………夢?」 まさか人がいるとは思ってはいなかったゲドは少しばかり驚くことになった。 「……ッ?……ジャックか?」 良く見ればジャックの他に十二小隊のメンバーがゲドを見下ろす状態で周りを囲んでいる。 「どうしたんだい?随分うなされてたみたいだけど」 「……あぁ、ひどい夢を見てな…」 そう周りのメンバーに向けて話しだしたのだがゲドの中にふとした疑問が残る。"自分は何故ここで寝ているのか?"と。疑問はすぐに解決するに限ると胸中で思いすぐさまそのことを口に出し、それを待ってましたと言わんばかりにエースが口を開く。 「そうですよっ!!大将に用があったんで部屋に行ってみれば内から押さえ付けてる感じで扉はあかないし、声かけてみても大将何だか分からない言葉言い続けてるんで、ちょっと失礼して勢いつけて扉打ち破ってみたんです。そしたら、大将が………………」 ゲドはエースが話す言葉の途中から意味を理解することが出来なかった、というより理解したくなかった。エースの言葉通りに受け取るならばゲドが夢だと信じていたことは実際に起こったということで、先程までこの部屋にあの恐怖の犬共がいたということである。再び薄れそうになる意識をどうにか踏みとどめ、エースの言葉を遮るように震える声をだす。 「…聞くが、………この部屋に……犬が…いなかったか?」 「犬?犬じゃったら………」 「アゥッ!!」 ジョーカーの答えを待つまでもなく、結果はあらわれることになった。最悪の方向へと そしてゲドは再び暗闇の世界へと旅立つのであった。 |
自分、一体何が書きたかったのでしょうか?かなり疑問です。 そして犬達は何がしたかったのでしょう……きっと、ネコばかりに構っている隊長への復讐……? 隊長がどんどん可哀想な人になってゆきます。ちゃんと愛をそそいでいるのに……どうしたものでしょうね(悲) |
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