妙なプレゼント |
「ゲドさーん!これ着てみて下さい!!!」 穏やかな日、風も程よい感じで吹いている。あまりにも気持ちがよい陽気に自室で書類整理をしていたゲドはそのまま眠ってしまっていたがバタンという扉をあける大きな音、入ってきたヒューゴの声に束の間の安息をやぶられることとなった。 「……ん?」 寝起きでまだ何も分かってないかのようなゲドの反応に焦れたヒューゴは今一度同じ言葉を発した。 「だから、ゲドさん、これ着て下さい!!」 今度はしっかりと聞いてしまったその言葉にどう反応して良いのか分からず、取りあえず無言をきめてみた。 「…………」 「ゲドさん、どうしたんですか?"これ"着て欲しいな〜とか思ってるんですけど」 今度は自らの手に持つその物体を見せつけるかのように眼前で固まっている男の方に向ける。 「…嫌だ………」 ぼそっとだが確かに発せられた言葉、その言葉は拒絶の意を示していた。しかしそれで諦めるようなヒューゴではない。しつこいくらいにくり返し頭を抱え拒絶の意を発し続けているゲドにせまっている。"こんな奴だったか?"とかゲドが思ったかは分からないが、他の奴にも同じように迫っているとなると迷惑きわまりない事ではある。 さて、話は戻りある服をゲドに着せようと躍起になっているヒューゴである。 「ゲドさん…どうしても着てくれないんですね………この全身タイツ」 後の全身タイツだけを妙に強調していったヒューゴは先ほどの勢いはどこへいったのか、うってかわってブルーな雰囲気をまとわりつかせ恨めし気な視線をゲドに向けた。 「何故……俺に…?」 取りあえず理由だけでも聞いておこうと思い言葉を発し下げていた視線を正面へヒューゴの方へ向けた。その反応を見のがす彼ではない。我が意を得たといわんばかりに自分がいかにゲドにその服を着せたいか目を輝かせ捲し立てた。 「オレ、どうしても見たいんです。ゲドさんがその服着てる姿、だからわざわざ特注して作ってもらったんですよ!!一生のお願いですから、その服着た事誰にも言いませんから本当にお願いします。」 土下座せんばかりの勢いで捲し立てながら目を見開き驚きの意を表情を表しているゲドに迫る。これ以上近寄るなというオーラを発し牽制してみたところで彼の進行を阻止出来るわけではなかったが、そうせずにはいられない状況だったのだ。これ以上近寄る事が出来ないところまでより隻眼の男の目を覗き込む。 「どうしても駄目ですか?」 「駄目だ」 ヒューゴの表情に鬼気迫るものを感じたがゲドは何があろうとそんな格好などしたくはなかったのできっぱりと断った。 「……ゲドさん…オレ、クリスさんの事……とって恨んでるんですけど、今から…行ってきても良いですか?」 「行ってっ……て、何しにだ…?」 突然のヒューゴの話が変わり訝し気な視線を向ける。 「いやぁ、そんなの決まってるじゃないですか〜〜殺っ!!!」 何か恐ろしい事を言いそうな感じがしたのでバンッと気持ちの良い音をたて今まで額に当てていた手をヒューゴの口に降りおろす。 「何するんですか!!!」 見ればヒューゴは口元をおさえ涙目になっている。 「何と言われても……お前、今暴言吐こうとしなかったか?」 「そんなことないです、オレは本気ですよ」 胸の前で拳をにぎりしめ力説する。ゲドは本気になられても困ると胸中で思う。いったいこの状況をどうおさめるべきか、悩んでいるゲドを横目にヒューゴが救いともとれる言葉を口にした。 「ゲドさんがどぉ―してもっていうのなら、考えなおしても良いけど?」 「考えなおせ、それが世の中のためだ。」 即効答えを返したゲドに今度は絶望とも言える言葉をなげかける。 「じゃあ、この服着てくれるよね?」 もしかしてさっきのはこの為についた嘘なのか?そう考えたが"そんなことない"と答えたヒューゴの視線が本気だったので、それはないなと考えを改める。 「……嫌だ」 「それじゃあ、今からクリスさんのとこに行ってきます。」 何故にそうなる!と胸中で突っ込みをいれつつ"待て"と一言すでに部屋の外へ半身出てしまっているヒューゴに呼び掛ける。 「それじゃあ、着ますよね?」 ゲドは思いついた。ヒューゴにもこの嫌さを分からせてやればいいのだと。 「…お前も着ろ……」 「いいですよ〜じゃあ、ゲドさんも着てくれるんですね、黒の全身タイツ♪」 あっさりと承諾されたゲドは自分の考えがまだまだ甘かったと後悔の思いでいっぱいになった。しかも、"も"と"が"を言い間違えていた事に今さらながら気付き訂正を申し出たが、承諾してくれる訳はなく結局二人で全身タイツを着ることになったのである。着たことによって何が変わる訳ではなかったが、その日一日全身タイツで過ごすはめになったゲドは次の日風邪をひき、隊の皆からいらぬ心配をされたのであった。 |
この間描いた全身タイツのゲド、ヒューゴのおちというかそんな格好をする事になった経緯というか、そんな話しです。なにげに名前だけ出てきました。クリスさん。でも扱いが悪いです。クリスファンの方すみませんです。いつものごとく話がまとまってないですれど許してやって下さいませ(笑) |
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