二度目の決意 |
湖の城で炎の英雄の待つ地へ、ライズがいると思われる場所へ行こうと決意してから幾日たったのだろうか? ゲドたち十二小隊のメンバーはとある場所で足留めをくっていた。かたく決意したすぐ後の出来事だった所為か、 出鼻を挫かれた形となりなし崩しにそのまま数日間留まる事となった。 予定外の逗留は暇なものだ。それは十二小隊のメンバーとて同じ事、隊長であるゲドでも同じであろう。 留まる時間が増えれば増えるだけゲドの思いは今ではなく過去へのものとすり変わってゆく。 今とはまた違った意味での人である証しだとか、存在理由。そういったものを感じた50年前の時代へ。 (50年前、俺は炎の運び手といわれた人々の一員だった。炎の英雄ライズの片腕ともいわれていた。 右手に宿る真の雷の紋章がそれは事実だと知らせてくれる。何十年も我が身に宿る真の紋章、 いったい何時まで共にいなければならないのか………) 思いはすぐに後悔へと変化してゆく、"過去の事など考えなければ良かった"と… どれだけそうしていたのだろうか、部屋には黒く影が落ち窓から見える空は茜色から藍色に変わりつつあった。 と、幾分か控えめに部屋の扉がノックされ、外から同じような口調でエースが声をかけてきた。 「大将、寝てるんですかい?起きてるんでしたら、ちょっと話があるんで出てきてはもらえませんかね」 「…………ここでは駄目なのか?」 扉の向こうからははっきりとしたゲドの声が聞こえてきた。それでゲドが寝てはなかったのだということが知れた。 「それでも良いんですがね、ここだと意味ないですよ」 「………何故部屋に入ってこない?カギはかけてないはずだが……」 エースのいった事を聞いていたのかいないのか、ゲドは少し気になっている事を口に出した。 いつもならノックの音と同時に入ってくるようなエースだ、気にならないほうがおかしいだろう。 「そんなこと気にしてたんですかい?ま、いいから行きましょうや」 ゲドは訝しがりながらも完全に影の落ちた暗い部屋からここよりは幾分かましであろう外に向かって扉を開いた。 扉の向こうは火がともったランプにてらされた少し薄暗い廊下、その反対側の壁と開いた扉の丁度中間辺りにエースは 視線を下に向け佇んでいた。表情を伺い知る事は出来ないが、笑っているという事はないだろう。それにしても普段のエースからは考えられない姿ではある。 「大将、大丈夫ですかい?」 「……?」 先ほどの姿は見間違いだったのだろうか、ゲドに向けて口を開いた時には普段のゲドが知る十二小隊のメンバー、 エースの姿に戻っていた。疑問は残るがそのうち分かるだろうと思いこの場は何も追求せずにすることにした。 エースが先にたって歩いて来た場所は宿屋から少し離れた木が密集する林の中だった。 その林の中をしばらく歩いた後、振り向く事なくゲドに声をかけてきた。 「大将、何時までここに留まるつもりなんですかね?」 「………」 その問いにたいして、辺りの闇に同化しつつあるゲドは無言の答えをかえす。 空には明るく月がのぼりあたり一面を照らしていたが彼等の周りだけは暗い闇に覆われていた。 ゲドとて同じ場所に長い間留まるつもりは少しもありはしないのだ。ただ… (おれは英雄の待つ地へ行きライズと会うのが恐い) 「炎の英雄ってぇ奴と昔何かあったからじゃあ、ないですよね?」 エースの確信をつく問いにゲドは思わず口調を荒げ反論していた。 「奴は関係ない!!」 突然の変化に驚いたエースはそれでも怯む事なくゲドの方に体ごと向き直りいつものおどけた口調で話しかけてきた。 「それじゃあ、出発明日でも良いですかい?いい加減報告書にかく嘘のネタも尽きてきてますのでね」 「………これを言うためだけに、お前はおれを部屋から連れ出したのか?」 とんでもないと言わんばかりに首を横に振りエースが放った言葉は少しばかりゲドを驚かせるものだった。 「大将、宿に部屋を借りてから一度も外に出てないんじゃないですかい?」 「………そうか?」 自分の事には無頓着なゲドである、憶えてるはずもないだろう。その答えをあらかじめ予想していたエースは やっぱりと思いながら話を先にすすめる。 「そうなんですってば!!で、何ですけど健康に悪いって事でこうして大将を外までひぱってきた来たわけなんですよ」 「……何故、おれと炎の英雄が関わりがあると思ったんだ?」 そんな答えが帰ってくるとは思っても見なかったエースは少し慌てた。返すべき答えを考えていなかったものだから、 焦るなと言う方が難しいだろう。それでも何とか考えて意味のある言葉にする。 「それは……あれですよ、大将は炎の英雄がどこにいるのか知ってたじゃないですか?」 エースの言葉にそれもそうだと納得したゲドは自分の過去の事を話してしまおうかと考えた。 これが一番手っ取り早い方法ではある、しかし……今でなくとも話す機会はある。 「………いずれ、分かる」 「えぇっ?それってどう言いう……?」 「明日は早いのだろう?宿に戻るぞ」 聞き返すエースの言葉を後ろにゲドはゆっくり宿の方へ歩みを進めた。後に残されたエースは ゲドにおいて行かれまいとして急いでその後を追った。 宿に戻り、扉をあけて一番最初に飛び込んで来たのはクイーンの怒声だった。 「ちょっとエース!!今までゲドつれてどこいってたんだい?」 「そうじゃなお前さんが一緒じゃと、ろくな事がないからのぅ」 まだ夜もはじまったばかりだというのに、テーブルを囲んでクイーンとジョーカーの2人はかなりな量の酒をあけていた。 「げっ、お前らまた酒飲んでたのか?あれほど飲むなと言ってたのに」 そのまま、いつもの言い合いがはじまった。ゲドはしばらく様子を見ていたがおさまる気配がまるで見えないので 一人部屋に戻る事にした。 ゲドは明日この地をたつと決めてしまえば幾分か楽な気分になっている事に気付いた。 "ライズに会うのが恐い"その思いは消えてはいない、消えてはいないが会ってみようというふうに 思えるようにはなっていた。 そして、"明日、炎の英雄の待つ地へ行く"とゲドは二度目のより強固な決意を固めた。 「エースに感謝せなばな………」 そう呟いたゲドの顔は微かに笑みをうかべていた。 |
幻想3小説第二弾であります。予定ではとても長くなるはずだったのですけれどね、 長いのは書いてると話がどんどん違う方向にはしってゆくと思われるので(笑) novel topにエーゲドと書いてはありますが何か違いますよ。 ところどころ話しがつながってなかったりとかしてますけどね、 見苦しいところはとばしちゃって下さいって感じです。 |
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